日本の強みを引き出したシステム変更、田中碧が生み出したピッチ上の流れ/日本代表コラム

2021.10.13 12:40 Wed
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「日本サッカーの進退がかかっていた試合でもあるので、本当にこの試合が終わって引退してもいいやと思えるぐらい、後悔のない試合をしたいと思っていた」

試合後にこう語ったのは、崖っぷちの日本代表を窮地から救うパフォーマンスを見せたMF田中碧(デュッセルドルフ)だった。

23歳の新鋭、日本代表として3試合目の出場は、自身初となるワールドカップ(W杯)アジア最終予選だった。しかも、チームが置かれている状況はかつてないほどの追い込まれた状況。その大一番であるオーストラリア代表戦に、若武者は決死の覚悟で臨んでいた。

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世代間の融合と8年の積み上げを…日本代表に必要なのは目先の勝利ではなく、未来へのトライ

「勝利を目指さないといけない戦いですが、未来も同時に見据えて選手起用をしながら、選手個々のレベルアップとチームの全体の選手層を厚くすること、戦い方の選択肢を増やすことは絶対的に必要だと思います」 コロンビア代表戦後、森保一監督が口にした言葉。この言葉こそが全てと言えるだろう。 カタール・ワールドカップ(W杯)でベスト16に進出するも、PK戦の末に敗れた日本。ドイツ代表、スペイン代表という世界の強豪国相手にしっかりと勝利を収めたことで、大きな盛り上がりを見せ、世界に驚きを与えた。 その後、選手たちは各クラブで結果を残し、驚きを与え続けた中、W杯後の最初の活動となったウルグアイ代表戦とコロンビア戦は、チケットが完売し、スタンドが埋め尽くされ、大きな声援が選手たちに送られた。 結果を見れば、1分け1敗。期待に応えていないと言われても仕方ないのかもしれない。森保監督も「まずは結果が大事だと考えている中で残念な気持ちでいます」と会見の冒頭で語った。 当然勝った方が良いに決まっている。そして、監督や選手だけでなく、観客も勝利を望んでいたことは間違いない。ただ、勝利すれば良いのかと言われれば、そうではないだろう。その理由は、冒頭の森保監督のコメントだ。 この2試合に向けて、経験のある選手を外し、経験の浅い選手を招集した森保監督。W杯メンバーもいる中で、「より幅広く選手層を厚くして、強くして最強の日本代表を将来的に作っていけるようにと考えています」とメンバー発表時に語っていた。 カタールW杯でも越えられなかったベスト8の壁。しかし、日本が目指すのは、ベスト8ではなく、世界一。そこに近づくためのステップとして、2026年の北中米W杯を目指していく中で、やらなければいけないことは多い。 この2試合をただ勝ちに行くだけならば、メンバー選考も全く違うものになったはず。コロンビア戦後には「安定だけを求めれば、これまでやれていた選手たちを使うということで、安定と安心という部分はあるかもしれません」と語っており、3年半後にはベストではない選手を呼ぶこともできたはずだ。 ただ、今回の最大の目的はそこではない。3年半後、いやその先の世界一に向けて積み上げるということが最大のテーマ。これまでの日本代表とは、置かれている状況が全く違うことを認識すべきだろう。 <span class="paragraph-title">◆世代間の融合&8年という計画を最大限生かすべき</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230329_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> その大きな違いは、8年間チームを作れる可能性があるということ。もちろん、2026年のW杯までに森保監督がチームを離れる可能性はゼロではない。ただ、現時点ではその可能性は低い。 これまで、どんな監督でも4年が最長。W杯が終われば、別のサイクルが始まり、リセットされた状態から予選に向かい、本大会へと進む流れだった。 しかし、今回は違う。カタールW杯で経験したこと受け、ブラッシュアップして4年間を積み上げられるサイクルに入った。日本では今まで実現しなかったことであり、4年の積み上げの上にさらに4年を積み上げられることはプラスでしかない。 加えて、森保監督は2021年の東京オリンピック世代の監督を務めていたこともあり、未来へと繋がる世代の選手をよく知っている。そして、その選手たちは森保監督のサッカーをよく理解している。だからこそ、ベテランを外し、そしてベースの上に新たなトライをすることができたのだろう。いや、トライしなければいけなかったというのが正しいかもしれない。 今回の2試合では、サイドバックをインサイドに入れたビルドアップを試した。もちろん、そんな簡単に上手くいくことはなく、ただでさえトレーニングの時間がない中で、選手たちに理解させ、連係と動きを落とし込まなければいけない。 2試合を戦い、改善された部分も多少はあるが、まだまだ完成度は低い。ただ、選手たちがこの2試合で感じたことは、間違いなく大きいはず。6月の活動で、さらに精度を上げていけるかどうかは注目すべき点だろう。 これまで「勝利を目指す」というコメントを常に森保監督は口にしてきたが、この2試合に向けてはその数は少なかったように感じる。それは、勝利を目指すことは“当たり前”になっているのかもしれないが、勝利以上に求めたものがあったとも考えられる。進化にはリスクはつきもの。親善試合=テストマッチということが、やっと実現できる機会だったと個人的には思う。 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、カタールW杯までは予選が立て続けに行われ、親善試合の回数が減っていた。久々に訪れたテストの場を、存分に使い、勝敗が未来に関わらないところでトライするということは、今の日本代表にとって一番重要なことではないだろうか。 勝って反省していく、成長していくというのは理想ではあるが、勝てばいいという次元にはもういないということ。トライをした上で勝っていくことを目指す集団になれるかどうかが、ベスト8を超えていくためには必要になるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【動画】新たなトライへ、日本代表のミーティングの様子をチェック</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="9rPJwzlIL_o";var video_start = 349;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2023.03.30 07:45 Thu
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新たな“トライ”を続けた日本代表、伊東純也の投入で生まれた変化が今後のポイントに

日本代表では史上初となる2期目の指揮を執る森保一監督。新たな目標に向けて更なる成長を目指す第一歩を踏み出した。 試合後「これまでやってきたことと違うトライをした」と語った森保監督。「W杯を経験した組、経験の浅い選手がどう関わっていくか。チームでの新たな融合にトライしました」と、選手たちを入れ替えて臨んだウルグアイ代表との試合は1-1のドローに終わった。 今回の試合に向けては長らく日本代表でプレーした選手が不在に。初招集が5名、カタール・ワールドカップ(W杯)を知らない経験の浅い選手が6名という状況。特に最終ラインはケガなどの影響もあり、板倉滉(ボルシアMG)と伊藤洋輝(シュツットガルト)のみがW杯経験者という状況での活動となっている。 およそ3年半後の北中米W杯に向けて、カタールW杯からの成長を目指す日本。戦前に「ボールを握った時の戦い方」を課題に挙げていたのは森保監督だったが、冒頭のコメントにある通り、新たなトライを見せた。 <span class="paragraph-subtitle">◆変化したビルドアップ</span> その1つはビルドアップのやり方だ。元々、後方からボールを繋いでいくというサッカーを標榜していた森保監督。しかし、カタールW杯で相手に通用したのはポゼッションではなく、ハイプレスと鋭いカウンター攻撃だった。 課題に挙げていた「ボールを握った時」のプレーでは、保持できる時間帯はあっても相手の守備を崩すことはほとんどできず。W杯で結果を残して行く上では、構える相手に対してどう崩して行くかが大きなポイントとなっていく。 そんな中、ウルグアイ戦ではサイドバックのポジションをビルドアップ時に変更。右の菅原由勢(AZ)、左の伊藤が中央に入り、ボランチの遠藤航(シュツットガルト)か守田英正(スポルティングCP)が最終ラインの真ん中に落ちるという形を作った。 [4-2-3-1]をベースに、ビルドアップ時は[3-2-4-1]のような形に変更。左サイドハーフの三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)、右の堂安律(フライブルク)がワイドに開き、トップ下の鎌田大地(フランクフルト)と、最終ラインに降りていない遠藤か守田のどちらかがインサイドに入るというものだった。 これまでのビルドアップでは、3バックは変わらずも、サイドハーフとサイドバックは縦関係のまま。中盤がダイヤモンドの[3-4-3]のような形をとることが多く、ゴール前で崩すという形をなかなか作れなかったのが現実だ。 森保監督は「サイドバックがどう攻撃に絡むかにトライしましたが、なかなかうまくいきませんでした」とコメント。その通り、前半は構えるウルグアイを相手に、ボールを持てる場面はあったものの、相手陣内で効果的に崩すまでには至らず、ゴールに迫るのはカウンターがほとんどだった。練習期間が2日とほとんどない状況、そして新戦力もいる中での初実戦だったことを考えれば、もちろん上手く行くはずはない。ただ、「選手たちもトライしながら、工夫してくれて良いリズムを作ってくれました」と森保監督が語るように、選手たちがトライを続けたことはプラスに捉えて良いだろう。 <span class="paragraph-title">◆後半に生まれた変化は?</span> とは言え、気になることもある。1つは選手たちが考えすぎているという点。まだ慣れていないで考えながら動いていることは当然だが、その結果テンポが全く上がらず、判断も鈍ったということは気になる。 合わせる時間もほとんどなく、コンディションももちろん万全ではないことは前提としてあるが、形こそ作ったが機能したとはまだまだ言えない状況。いかに少ない活動の中で体得して行くのかがポイントとなりそうだ。 もう1つは選手の選択。この形のビルドアップを行う上で大事なるのは、いかに相手の守備をズラしていくか。前半の形でいくには、サイドに開く選手が三笘のみの状況になることが多く、右サイドの堂安は中に入ってのプレーが得意なだけに難しくなる。 だからと言って堂安に問題があるということではなく、そうであれば守田と伊藤が下り目、堂安と鎌田が中に入り、三笘と菅原が大外に構えるという形だって良いはずだ。選手のプレーの特徴を考えて、各選手がポジションを固定するのではなく、局面を考えて動けるようになれれば、日本の武器になる可能性は十分にある。 その可能性が見えたのは後半の選手交代後。伊東純也(スタッド・ランス)、上田綺世(セルクル・ブルージュ)、西村拓真(横浜F・マリノス)、田中碧(デュッセルドルフ)が入った後の形だ。 まず、伊東が入ったことで、両サイドがワイドなポジションを取ることがスタートとなり、4バックのウルグアイが広げられる形となった。その結果、1トップに入った上田は相手を背負ってポストプレーをすること、サイドバックとセンターバックの間のスペースを狙うことなど、プレーの幅を生かせることができた。 さらに加速させたのは西村と田中の投入だ。より前に向かえる2人が入ったことで、日本の攻撃のベクトルがウルグアイゴールに全て向かう形となり、結果として右ワイドの伊東から何度も崩し、ゴールシーンも伊東から生まれ、空いた中央で西村が合わせるというものだった。 前半はなかなか取れなかったポジションを選手交代で改善したことで、ウルグアイの守備を崩すことに成功。サイドバックを中に絞らせる中で、どうやって相手の守備陣を広げられるかが重要となる。 世界のサッカーで見てもサイドバックが中にポジションを取るチームはいくつもあり、プレミアリーグで首位を走るアーセナルが良い例。左サイドバックを務めるウクライナ代表DFオレクサンドル・ジンチェンコは積極的に中に入りビルドアップに参加。必ず両ワイドにはガブリエウ・マルティネッリとブカヨ・サカがいて、サイドを起点に攻撃を仕掛けることが多い。 相手はポゼッションと個の仕掛けを警戒しなければならず、サイドばかりを警戒すれば、1つ内側のレーンを突かれてしまい、4バックだと守り辛い状況が生まれて行くのだ。日本も伊東が入ってからはその形を何度か見せていた。 伊東と三笘というヨーロッパでも通用しているドリブラーが両翼にいることで、相手のサイドバックが引っ張られることは間違いない。その中で、トップでしっかりと時間を作り、連係・連動ができるようになれば、「ボールを握った時の戦い方」という課題が少しは解決する可能性があるだろう。 まだまだ新チームの初陣。森保監督は「上手くいかない中でも粘り強くやってくれたということでは、2026年に向けてのチャレンジと、最後何とか追いつきたいという選手の気持ちが表れていた」とコメントした通り、ウルグアイ相手に大きなピンチは数えるほど。1失点で抑え切った守備陣も称えられるべきであり、「失点した後に崩れなかったという部分では、若い選手がなんとかやっていこうというメンタル面でタフなところを見せてくれました。融合という意味ではスタートとしては良かったと思います」と、手応えを感じるパフォーマンスだったことは間違いない。 続くコロンビア代表戦までも時間はないが、少しでもウルグアイ戦からの改善を見せられるか。メンバーも入れ替わる中でどんな戦いを見せるのかは注目したいところだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 <span class="paragraph-title">【動画】まさに狙った形に! 新たなビルドアップのヒントとなる伊東純也のクロスから西村拓真</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/TVer?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#TVer</a> でも生配信<a href="https://t.co/QAzSCeYagQ">https://t.co/QAzSCeYagQ</a><a href="https://twitter.com/hashtag/jfa?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#jfa</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/daihyo?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#daihyo</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/SAMURAIBLUE?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#SAMURAIBLUE</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#サッカー日本代表</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%86%E3%83%AC%E6%9C%9D%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#テレ朝サッカー</a> <a href="https://t.co/VJscpHbuDC">pic.twitter.com/VJscpHbuDC</a></p>&mdash; テレ朝サッカー (@tvasahi_soccer) <a href="https://twitter.com/tvasahi_soccer/status/1639238768879341568?ref_src=twsrc%5Etfw">March 24, 2023</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2023.03.25 22:35 Sat
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平均年齢24.5歳の日本代表、“旬”よりも優先した将来の壮大な目標を見据えたメンバー選考

「2026年に向けて、チーム力を上げていく、成長を考えながらこれまで通り目の前の一戦で勝利を目指す」 そう語ったのは森保一監督。日本サッカー史上初となるW杯後の続投となり、日本代表を8年間率いることになる初の指揮官が、リスタートに向けたメンバー発表会見の冒頭に語った。 2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)では、多くの海外組を招集し、死の組ともいわれたグループステージでは、W杯王者を経験したドイツ代表、スペイン代表に逆転勝利。世界中を驚かせるパフォーマンスを見せた。 「ベスト8以上」という目標を掲げて臨み、下馬評こそ高くなかったが、ラウンド16に進出すると前回大会準優勝のクロアチア代表相手に善戦。PK戦の末に敗れ、またしてもベスト16での敗退となったが、それでも大きな熱狂を生み、続投が決定した。 2期目を迎える中で、初陣となるウルグアイ代表戦とコロンビア代表戦に向けたメンバーが発表される中、「カタールW杯のメンバーを中心」にして行くと語っていた森保監督。ベテラン勢の扱いや、環境を変えた選手たちの扱いが注目を集めた中でメンバーが発表された。 正直なところ、個人的な感想としては「思ったよりも先を見据えている」というものだった。ある種驚きにも似た感情が沸いていた。 ベテラン勢を招集しないということはある程度予想されDF長友佑都(FC東京)やDF酒井宏樹(浦和レッズ)らが外れたが、キャプテンを務めたDF吉田麻也(シャルケ)も選外というのはいうのは意外だった。もちろんチームが熾烈な残留争いを繰り広げていることなども理由としてあるだろうが、ホスピタリティ精神を持つ森保監督であれば、W杯を終えての凱旋試合にも当たるため、キャプテンは招集するかと思っていた。 「選ばれてもおかしくない活躍をJリーグでもブンデスでも見せてくれている」とコメントはしたが、選んだのは選手層をより広げていくこと。2026年の北中米W杯だけでなく、さらにその先も見据えていることが感じられる人選となった。 <span class="paragraph-title">◆2026年、さらにその先を見据えて</span> そしてその代わりに最終ラインを任せるために初招集されたのが、DF角田涼太朗(横浜F・マリノス)、DFバングーナガンデ佳史扶(FC東京)、DF半田陸(ガンバ大阪)の若手3名。さらに、代表歴はあるDF菅原由勢(AZ)、DF橋岡大樹(シント=トロイデン)、DF瀬古歩夢(グラスホッパー)と東京オリンピック代表として呼んだこともある選手を招集した。 DF登録の選手の平均年齢は、カタールW杯時の8名で29.1歳だが、今回のメンバー9名の平均年齢は22.9歳、最年長が26歳の板倉滉(ボルシアMG)と変貌を遂げた。 チーム全体で見ても、最年少はGKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)の31歳。30代は他に、MF遠藤航(シュツットガルト)とMF伊東純也(スタッド・ランス)だけとなっており、平均年齢は24.5歳。4年後だけでなく、その先に繋げるためのメンバーをまずは呼んだということ。目の前の試合で勝つためにベストを尽くしながらも、しっかりと強化していく意思が見えたメンバーとなった。 もちろん、シーズン26ゴールを決めているFW古橋亨梧(セルティック)や開幕から出色の出来を見せているMF伊藤涼太郎(アルビレックス新潟)など、招集が期待されていながら呼ばれていない選手もまだまだいる。 彼らは今回のメンバーには選ばれなかったが、決して道が閉ざされたわけでもない。結果を残しても意味がないという見方もできなくはないが、中長期にチームを作ることを考えた末での選考ということだろう。 森保監督は「今後に向かっていく中でベストなメンバーを選んだ」とコメント。「2026年に向けて最強のチームを作るために、1回1回のベストの活動をして行く中、ベストの活動が人が限定ではないということ。より幅を広げながら、チーム力を上げて行く」とコメントしている。 最強とはなんなのか。あくまでも本番は2026年のW杯であり、そこで目標を達成するために今からベストを積み上げて行きたいという森保監督。今輝いている“旬”な選手を呼ぶことだけがベストではないという姿勢は、本気で3年後に結果を残すための準備としては間違ってはいないのかもしれない。 「2026年のW杯というよりも、2050年までに日本サッカー協会がW杯で日本代表が優勝するという宣言をしていますので、そこに向けて我々はやるべきかなと思っています」 「世界一というところを目標に、今持っている力をどれだけ上げていけるかを常に考えなければいけないと思います」 森保監督は会見で今後の展望についても語っており、目先の試合、活動を大事にしながらも、遥か先を見据えているとした。どういった成長を見せていくのか。まずは初陣を楽しみにしていきたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2023.03.16 12:50 Thu
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第2次森保ジャパン、最初に呼ぶべき26名は? W杯組をベースにノってる新顔招集に期待

15日、2026年の北中米ワールドカップ(W杯)に向けてスタートする日本代表活動に臨むメンバー26名が発表される。 日本サッカー界にとって初となるW杯後の2期目の指揮を執ることとなった森保一監督。カタールW杯では目標としたベスト8以上の成績は残せなかったが、ドイツ代表、スペイン代表と強豪を下すと、PK戦までもつれこんだ末に最終的に3位となったクロアチア代表に敗れていた。 目標達成とはならなかったが、また1つステップを上がった日本。3年後の大会では出場国も48カ国に増加し、アジアからの出場国も大きく増えることから、予選の戦いは今までとは全く違うものになるはずだ。 これまで以上に本大会への出場確率は上がることが予想され、チーム作りに時間をかけることは可能になると予想されるが、チームを作るということを考えれば実質8年間の積み上げで臨むことができることとなる。 その第一歩となるのがキリンチャレンジカップのウルグアイ代表戦とコロンビア代表戦。多くの注目も集めることになるが、招集されるメンバーは26名であり、W杯組と海外組が中心になるはずだ。 すでにいくつかのヒントを出している森保監督だが、希望を含めて26名を予想してみる。 <span class="paragraph-subtitle">◆守護神争いは新たな局面に、守備ラインは大きく入れ替えか</span> <span class="paragraph-subtitle">GK</span> シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー) 中村航輔(ポルティモネンセ/ポルトガル) 高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス/カナダ) GKはカタールW杯組ではシュミット・ダニエルのみを召集すると予想。川島永嗣(ストラスブール)は代表からの距離を置くことを明言しており、正守護神だった権田修一(清水エスパルス)はJ2を戦っているために招集されないはずだ。 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230315_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 3名を呼ぶとして次に候補に上がるのはポルティモネンセで出番を得ている中村航輔。かつては日本代表入りし、ロシアW杯を経験しているが、久々の復帰に期待したい。ポジションを確保してからは素晴らしいセーブを見せるなど、やっとヨーロッパの舞台で活躍を見せている。 もう1人は悩みどころだが、昨季のJリーグチャンピオンにも輝いた高丘陽平を招集してもらいたいところ。ビルドアップ能力に加え、セービング能力も昨季十分にJリーグで示しているだけに、一度招集をしてみてはいかがだろうか。 <span class="paragraph-subtitle">DF</span> 板倉滉(ボルシアMG/ドイツ) 冨安健洋(アーセナル/イングランド) 吉田麻也(シャルケ/ドイツ) 藤井陽也(名古屋グランパス) 山根視来(川崎フロンターレ) 菅原由勢(AZ/オランダ) 伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ) 佐々木旭(川崎フロンターレ) <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230315_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> ディフェンスラインだがCBに4名、両サイドバックで4名を予想してみた。W杯組では板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝は次世代を担う候補であり、キャプテンの吉田麻也は今回は招集されると予想。ただ、チームが残留を争っていることを考えると、招集を見送る可能性もゼロではない。また、右サイドバックとして山根視来は招集されるはずだ。 一方で、長友佑都(FC東京)や酒井宏樹(浦和レッズ)、谷口彰悟(アル・ラーヤン/カタール )は外れると予想。フレッシュな選手も欲しいことを考え、代わりに右SBに菅原由勢、左SBには初招集となるが佐々木旭を候補として挙げたい。 また、CBには今季わずか1失点の名古屋グランパスの守備を支える藤井陽也を呼んでもらいたいところ。22歳の若きCBは今後の成長を含めても注目したいところだ。 W杯2大会を経験しているベテラン勢に代わり、押し上げる若手の台頭を期待したいところだ。 <span class="paragraph-title">◆中盤は好調維持する選手だらけ、国内外のノっている選手を呼ぶべき</span> <span class="paragraph-subtitle">MF</span> 遠藤航(シュツットガルト/ドイツ) 守田英正(スポルティングCP/ポルトガル) 鎌田大地(フランクフルト/ドイツ) 田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ) 佐野海舟(鹿島アントラーズ) 三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン/イングランド) 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン) 堂安律(フライブルク/ドイツ) 伊東純也(スタッド・ランス/フランス) 旗手怜央(セルティック/スコットランド) 中村敬斗(LASKリンツ/オーストリア) 伊藤涼太郎(アルビレックス新潟) <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230315_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©️CWS Brains,LTD.<hr></div> 中盤だが[4-2-3-1]でも[4-3-3]でも起用できる選手たちの名前を挙げてみた。まずはボランチだが、W杯組から遠藤航、守田英正、鎌田大地、田中碧をピックアップ。それ以外では、今季から鹿島アントラーズでプレーする佐野海舟を入れてみた。ハードさが売りのボール奪取能力を代表レベルで磨き上げてもらいたいところだ。 また、ヴィッセル神戸の齊藤未月も好パフォーマンスを見せているが、若干他の選手とタイプが重なる部分もあり、今回は佐野が良いのではないかと考える。 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230315_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> また2列目では、右には伊東純也と堂安律、左には三笘薫と久保建英は確定だ。また、新顔ではオーストリアで奮闘している中村敬斗をぜひ呼んで欲しいところ。左のサイドやウイングでプレーするために三笘や久保とポジションは重なるが、リーグ戦11ゴールの結果は招集に十分値するはずだ。 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230315_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©️J.LEAGUE<hr></div> さらに現在絶好調の伊藤涼太郎も招集を期待する。アルビレックス新潟の攻撃を司り、自身も2試合連続ゴールと好調を維持。予てからポテンシャルが評価されていた中で、やっと開花した今こそ呼んでみるべき選手だろう。 その他、セルティックの中心である旗手怜央にも注目。ポリバレントさがある上に、セルティックで見せているパフォーマンスは十分に招集に値するもの。W杯メンバーには入れなかったが、3年後は期待値が高い選手の1人だ。 <span class="paragraph-subtitle">FW</span> 上田綺世(セルクル・ブルージュ/ベルギー) 前田大然(セルティック/スコットランド) 古橋亨梧(セルティック/スコットランド) <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/jpn20230315_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 最前線は1トップと考え3名を選出。まずはベルギーでの1年目ながらリーグ戦で13ゴールを挙げている上田綺世。W杯では45分の出番に終わったが、その後にゴールを量産しており、次のW杯に向けた軸になると考えられる。 そしてケガの状態は問題ないと言われている前田大然。セルティックでは左ウイングでプレーすることが多いが、W杯でも見せたチェイシングやそのスピードはやはり軸になるべき選手だろう。 最後の1人は古橋亨梧だ。今シーズンは日本人で誰よりも多い26ゴールを記録。スコティッシュ・プレミアシップ2年目で、すでに20ゴールを記録しており、その得点感覚は衰えるどころか凄みを増している。 カタールW杯では残念ながら落選し、監督のスタイルと合うかと言われれば難しいところもあるが、ベスト8に向けてチームを作り直すという点では、やはり呼んでチームにフィットさせるべき選手の1人だろう。 その他の候補では、昨季のJ2得点王であり、J2でもゴールを決めている横浜FCの小川航基も呼んでも良いかもしれない。 基本的にはカタールW杯メンバーが中心となると予想される初陣だが、この先の3年間では大きな入れ替えも十分に考えられる。 今回はU-20日本代表がAFC U20アジアカップを戦っており、パリ五輪世代のU-22日本代表も同時期にヨーロッパ遠征を行うため、招集しにくい部分はあるはず。さらなる選手の台頭は今後も注目すべきポイントだ。 《町ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2023.03.15 07:45 Wed
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ベスト8に足りないもの…スペイン、ドイツではなくクロアチアにあった学ぶもの

「この4年間もできる限りのことをやってきたつもりですが、これでも足りなかったという現実がある」 そう語ったのはカタール・ワールドカップ(W杯)で日本代表のゴールを4試合守り抜き、ビッグセーブ連発で沸かせたGK権田修一(清水エスパルス)だった。 「新しい景色」と題して、ベスト8進出を目標に掲げて戦ってきた日本代表。4年前の2018年、ロシアの地での劇的な敗戦から、その壁を打ち破るべく準備を進めてきた。しかし、4度目の挑戦となったラウンド16で、日本はクロアチア代表と対戦。前回大会の準優勝国を相手に立ち向かった中、最後はPK戦で決着。またしても、壁を打ち破ることはできなかった。 「選手たちは新時代を見せてくれたと思います」と試合後に口にした森保監督。その言葉通り、“死の組”とも言われたグループステージでW杯王者のドイツ代表、スペイン代表を下しての首位通過を果たした。まさに新時代が来たと言っても良いだろう。この2試合の勝利は、偶然でもまぐれでもなかった。 ただ、その2チームに勝てたチームは、クロアチアの前に敗れた。もちろん実力は相手の方が上。決して楽観視をしていたこともないだろう。ただ、森保監督は自分たちのスタイルを出して真っ向勝負に挑むことを選択。ドイツやスペイン以上に、前半はやりたいことをやれていたはずだ。それでも、壁は打ち破れなかったわけだが、それには大きな違いがあった。 <span class="paragraph-subtitle">◆日本に対するリスペクト</span> あのパスが、あのシュートが…と言い出せばキリがない。それは、日本に限らず、どの国にもあること。細かい技術的な部分、そして戦術的な部分でもああしておけば、ということはいくらでも言える。そこを指摘し始めたらキリがなく、選手も監督もレベルアップするしかないという結論でしかない。 では何が足りなかったのか。そして何が違ったのか。1つは、日本代表に対する感情だといえる。 試合前、クロアチア代表のズラトコ・ダリッチ監督は「我々は相手が誰であり、彼らのメンタリティを知っている。さらに先に進みたいのであれば、全く同じ態度を示さなければいけない」とコメント。「我々は最善を尽くし、誰も過小評価しない。対戦相手に最大限の敬意を払い、どちらがより優れたチームであるかを見ていきたい」と日本について語っていた。 この発言が出た理由は2つあると考えられ、1つはドイツとスペインに勝ったという事実、そしてもう1つがクロアチア代表の特徴でもある、規律を重んじ、勇敢に戦い、努力を怠らないというものだ。 世界中の誰もが驚いたドイツとスペインに対する勝利。これにより、当然ながらクロアチアは日本への警戒心が高まったはずだ。初戦だったドイツ、コスタリカに負けた姿を見たスペインは、少なからず日本に対するマイナスの評価があったはず。それは試合中のプレーにも見られ、ドイツでは浅野拓磨のゴール時の守備、スペインでは後半立ち上がりの警戒心の薄さにも出ている。 ただ、クロアチアにはその様子はなかった。チームとしてしっかりと日本に対してプレーを続け、緩むシーンはほとんどなかったと言えるだろう。 そしてもう1つが、リスペクトが故の戦い方の変化だ。これこそがドイツとスペインにはなく、クロアチアにあったものと言える。 クロアチアはパスを繋いでいく一方で、ロングボールを多用して日本のゴールに迫った。また、両サイドからのクロス、ロングスローを利用して高さを生かしてプレーしてきた。 日本はなんとか対応していたものの、後半には一瞬の隙を突かれて失点。それも鋭いクロスからのヘディングだった。日本をリスペクトすることでしっかりと日本を分析して攻め手を変えること。そして、これまで以上に途中出場の三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)がケアされたことを考えても、クロアチアがいかに日本に対してしっかりと対策を練っていたかが窺い知れる。 <span class="paragraph-subtitle">◆優秀な選手をいかに輩出、そして育てるか</span> そして簡単には行かない違いで言えば、選手を生み出す土壌だ。クロアチアはW杯の歴史としては1998年のフランス大会が初出場。日本代表とW杯デビューは一緒だ。 グループステージでも対戦した中で日本は敗戦。グループステージで敗退となったが、クロアチアは3位という好成績を残した。2006年のドイツ大会でも日本はグループステージで同居して0-0のドロー。共にグループステージで敗退した。 その後、2010年は予選敗退、2014年はグループステージ敗退と結果を残せていなかったが、2018年のロシア大会では準優勝という成績を残した。 クロアチアは旧ユーゴスラビア圏の国。独立したことでクロアチアとなったが、予てから優秀な選手の宝庫だった。もちろん土壌も違い、相手は列強が揃うヨーロッパを舞台に常に戦っているという差はあるが、出てきた才能を伸ばし、トップクラスの選手たちを育成したという点がクロアチアが積み上げてきたものだ。 日本がいきなりヨーロッパの国のようになることはなく、100年経っても追いつけないことかもしれない。ただ、選手たちが常日頃から高いレベルのサッカーを経験し、それもトップクラスでレベルアップに力を注いでいる。W杯に出場してからの24年のサイクルで間違いなく成長している。日本の育成も間違いなく進化しており、高みを目指している動きは確実にある。 4大会連続でW杯に出場した長友佑都(FC東京)は「日本人の戦う魂は見せられたと思うし、負けてしまって残念ですけど、日本サッカーは確実に成長しているなと僕は感じています」とコメント。他の選手も成長を口にした。着実に歩みを進めている中で、これをしっかり継続していくことが、“新しい景色”に導くはず。「何かを変えなければいけないですし、チェンジではなくアップデートしていく必要がある」と権田も語ったが、経験を積み上げて、どうアップデートしていくか。選手個々も、サッカー協会、そして指導者も、一歩ずつ近づいていく必要があるだろう。 <span class="paragraph-subtitle">◆今回の経験を糧にできるか</span> 2000年のシドニー・オリンピック、2002年の日韓W杯を率いたフィリップ・トルシエ監督以来、20年ぶりにA代表と五輪代表の監督を兼務した森保一監督。4年前の悲劇をコーチとして現場で見てきた指揮官は、数多くの批判の中、強かに準備を進めた。 2つの世代を融合し、1チーム2カテゴリーと話していたが、結果として東京五輪世代から9名がメンバー入り。そしてゴールを決めた4人のうち3人が東京五輪世代だった。 東京五輪でメダルを逃した悔しさを生かしてスペインにも立ち向かい勝利。目標としたベスト8には手が届かなかったが、あと一歩にまで再び迫った。 4年前のベルギー戦のように、最後にやられることもなかった。あとは経験値にできるかどうか。クロアチアは4年前の準優勝時に3試合延長戦まで突入し、2試合がPK戦。全てに勝利して決勝に辿り着いていた。 一方で、日本のメンバーは19名が初めてのW杯。ラウンド16を経験したのは6人しかいない。その経験の差は大きいと言える。そしてそこがベスト8に行くために必要になってくるものだろう。 着実に一歩ずつ進んでいる。クロアチアに対して真っ向勝負を挑むことを選択肢、120分間は戦えた。ただ、仕留めることはできず、PK戦でも3本も止められた。この事実を受け止めながらも、4試合で得た経験、そして成果と課題をどう生かすのか。多くの人の心を動かしたSAMURAI BLUEに感謝すると共に、その感情を4年後まで盛り上げ続けてくれることに期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.12.06 15:40 Tue
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